マイナンバーで、副業が勤務先にばれますか?

~ 副業でパートやアルバイトを行うときの注意点 ~

みなさんの中には、様々な事情により、会社が禁止しているにも関わらず、就業時間後や休日に他の会社で働いている人、あるいは、会社で副業を認めていても、届け出をせずに無断でアルバイトをしている人がいるかもしれません。

これらの人たちから、「マイナンバー(個人番号)制度によって、個人の給与の受け取りや税金の支払い等の状況が丸裸になり、本業の勤務先に副業がばれてしまうのではないか」という相談を受けることがあります。実際に、そういうことがあるのでしょうか?また、副業としてパートやアルバイトを行うときには、どのような点に注意するべきなのでしょうか?

1.マイナンバーによって副業がばれることはない

マイナンバー制度とは、国民1人に1つの番号を割り当てて、それを税・社会保険等の事務処理に用いる仕組みで、2016年10月からスタートしました。マイナンバーは、基本的に税務署やハローワーク等の行政機関において使われるものですが、税・社会保険等の手続きは会社を通して行っているものが多いため、会社も従業員一人ひとりのマイナンバーを知っておく必要があります。

ただし、会社は、知りえた従業員のマイナンバーを行政手続き以外の目的で使うことはできません。例えば、マイナンバーを使って税務署等に従業員が複数の会社から給与を受け取っていないかどうかを調べてもらうことはできません。一方、行政機関もマイナンバーを使って集めた情報を会社に提供することは認められていません。例えば、税務署等は、マイナンバーを使えば、複数の会社から報酬を受けている人を簡単にチェックすることができますが、その人の勤務先にその結果を通知することはありません。

ですから、「マイナンバー制度の導入によって、副業が会社にばれるようになった」ということは、基本的にはないのです。

2.住民税を見れば、会社は、従業員の副業を見抜くことができる

それでは安心か、というと、そうではありません。

みなさんの毎月の給与からは、社会保険料や所得税のほかに、「住民税」が徴収されています。住民税は、副業の給与も含めた1年間の収入に基づいて算出した税額を、本業の勤務先が、毎月の給与から天引きして納付しています。副業をしている従業員は、同じくらいの給与をもらっている同僚と比べて住民税の額が明らかに大きくなるので、会社は、給与明細を見れば、その従業員が副業をしているかどうかを見抜くことができるのです。

「それならば、マイナンバー制度導入の前から、従業員が副業しているかどうかを、勤務先はチェックできたはずだ。数年間にわたり副業している同僚がいるが、会社にばれないのはなぜか?」と思った人がいるかもしれません。それは、その会社が、「従業員一人ひとりの住民税をチェックするのが大変だから、やっていないだけ」、あるいは「副業していることを知っているが、何らかの理由により、その従業員をとがめないだけ」にすぎません。会社は、その気になれば、従業員が副業をしているかどうかを、今すぐにでもチェックすることができます。

3.「勤務先にばれずにできるアルバイト」ほど注意が必要

「マイナンバーも税金もうまく処理しますので、本業の勤務先にばれずに、アルバイトができます」と誘ってくる会社があるかもしれませんが、こういう誘いには乗ってはいけません。パートでも、バイトでも、雇用して給与を支払う場合、会社は、その者からマイナンバーを提供させること、または税金に関する諸手続きをすることが必要になります。それを「うまく処理する(誤魔化せる)」等と言ってくる会社は、法令違反を平気で犯すようなところと考えてもよいでしょう。このような会社でアルバイトをすると、「副業をしていることを勤務先にばらすぞ」等と脅されて、契約どおりに給与を支払ってもらえない、退職させてもらえない等のトラブルに巻き込まれる危険性があります。

4.副業は自己責任で行う

結局、副業を本業の勤務先にばれないようにする有効手段はありません。ですから、パートやアルバイトとして副業を行うときには、本業の勤務先が副業を認めている会社であれば、所定の手続きを踏んで、認めていない会社であれば、副業が勤務先にばれるリスクがあることを覚悟したうえで行うことが必要です。いずれにせよ、副業は、会社や周囲の人に迷惑をかけないように、自己責任のもとで行われなければなりません。

なお、ここでは、「パートやバイトとして他社で雇用される(給与を支給される)場合」の副業について説明しています。会社に雇用されない場合の副業(例えば、「記事を執筆して原稿料をもらう」「個人事業主としての事業所得とする」等)は、取扱いが異なってきますので、ご注意ください。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。

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