税金を低くおさえることはできますか?

~ パート従業員ができる節税対策 ~

年末調整が終わると、1年間の給与の総額や納付した源泉徴収税額が表示されている「源泉徴収票」が、従業員一人ひとりに配られます。これを見るたびに、「税金をなるべく低くおさえるように『節税対策』をしたい」と思う人も多いことでしょう。

パート従業員でも簡単にできる「節税対策」として、どのようなものがあるのでしょうか?

1.勤務先の社会保険に加入する

健康保険、厚生年金保険および雇用保険などに支払った社会保険料は、税金を計算するときの収入から差し引かれます(これを「社会保険料控除」といいます)。つまり、社会保険に加入して保険料を支払えば、課税対象となる収入がその分だけ減って、納付する所得税や住民税が少なくてすむのです。

ただし、「社会保険料として支払った金額」が「税金の減額分」を上回ると、結果として、手取り額が減ってしまいますので、「節税をする意味がない」という人もいるでしょう。しかし、社会保険料として支払った金額は、65歳以降に年金として戻ってくると考えれば、現在の手取り額が減ったとしても、長い目で見れば得をしているとも言えます。

なお、社会保険の加入・非加入は、従業員が選択できるわけではなく、「所定労働時間が週30時間以上」(従業員が501人以上の会社は、「所定労働時間が週20時間以上」かつ「月額賃金8万8千円以上」等)の一定の要件を満たした場合に、自動的に加入することになります。したがって、「節税対策にもなるから社会保険に加入したい」と思うパート従業員は、労働時間や収入などの加入要件を満たすように働くことが必要です。

2.扶養親族を申告する

扶養親族がいる場合も、税金を計算するときに、年間の収入から一定額が差し引かれますから、税金が低くなります。(これを「扶養控除」といいます。)具体的に言えば、控除対象となる扶養親族1名につき、所得税は38万円(特定扶養親族は63万円、老親等は同居している場合は58万円、同居していない場合は48万円)、住民税は33万円が年間収入から控除されます。ここでいう「扶養親族」とは、配偶者以外の親族等であり、生計をともにし、さらに年間の合計所得金額が38万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)等の条件を満たす人で、このうち、12月31日現在で年齢が16歳以上の親族が扶養控除の対象となります。なお、「特定扶養親族」とは、控除対象扶養親族のうち年齢が19歳以上23歳未満の人、「老親」とは、年齢が70歳以上の父母、祖父母(配偶者の父母、祖父母も含む)等をいいます。

共働きの場合、扶養親族は、夫または妻の一方でしか申告できません。夫婦ともにパートで働いている場合、年収が高い方で扶養親族の申告をしたほうが、税金が低くおさえられることがあります。例えば、夫が年収150万円、妻が年収240万円(ともに社会保険に加入)で、高校生の子供が2人いる場合、子供2人を妻の扶養親族として申告したほうが、夫の扶養にしたときと比べて、年間で約6万円、税金(所得税と住民税)が低くなります。

3.個人型確定拠出年金に加入する

税金を低くおさえるためには、「個人型確定拠出年金」に加入するという方法もあります。

「個人型確定拠出年金」とは、毎月、金融機関に掛け金を支払い、それを自分で運用して、60歳以降に年金として受け取る仕組みです。ここで支払った掛け金の全額が、年間の収入から控除されるので、税金を低くおさえることができます。

例えば、個人型確定拠出年金に加入して、毎月1万円の掛け金を支払っている場合、課税対象となる年収が12万円減ることになりますから、1年間に納める所得税は6千円少なくなります。(所得税率5%の場合)

社会保険への加入と同様に、「税金は減るけど、それ以上に掛け金を支払うことになるから、意味がない」というとらえ方もありますが、ここで支払った掛け金は老後の年金として戻ってくると考えれば、税金の減額分だけ「得」をしたとも言えます。ただし、確定拠出年金の場合、「原則として60歳に到達するまでが積み立てた掛け金を引き出せない」、「金融機関等に管理手数料を支払わなければならない」等のデメリットもありますので、よく考えてから加入することが必要です。

これまで個人型確定拠出年金に加入できるのは、自営業者等に限られていましたが、2017年1月からは、専業主婦や企業で働いている従業員も含め、基本的にすべての人が加入できるようになります。この機会に、加入を考えてみるのもよいでしょう。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。

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