パートも税金を支払わなければならないのですか?

~ 給与から引かれる税金に関する基礎知識 ~

1.毎月、源泉所得税が給与から徴収される

所定労働時間が短いパート従業員でも、あるいは1ヵ月しか働かないアルバイトでも、給与を受け取る者は、原則として、その収入にかかる税金を納めなければなりません。働いている者が支払う税金の主なものとして、「所得税」と「住民税」が挙げられます。

所得税は、国に納める税金で、1年間の収入に税率(5%~45%)を掛けて徴収額を算定します。「何年間も働いてきたけど、税務署に所得税を納付したことが一度もない」という人がいるかもしれません。それも、そのはず。所得税は、会社が、給与を支払うごとに1年分の所得税の見込み額を月割りにした額(源泉所得税)を、各人の給与から天引きして納めています。(このような税金の徴収方法を「源泉徴収」といいます。)

みなさんの給与明細を見てください。給与の総支給額とは別に「(源泉)所得税」という欄があって、数百円から数千円の金額が表示されているでしょう。それが、その月に納めた源泉所得税の金額です。なお、その月の給与(社会保険に加入している従業員の場合、給与から社会保険料を差し引いた残額)が88,000円未満(扶養親族が1人いる場合は119,000円未満、2人いる場合は159,000円未満)であれば、源泉所得税は「0円」になります。

2.納付した源泉所得税の額が多ければ、年末調整で戻ってくる

所得税は、月々の給与から源泉徴収されているのですが、このようにして納付した源泉所得税の合計額と、1年間の収入に基づき算定した所得税額との間に差額が生じることがあります。この差額は、その年に支払われる最後の給与(または、翌年に最初に支払われる給与)で清算されます。具体的には、源泉徴収税の総額が納付するべき所得税額よりも多かった人には差額が返金され、逆ならば税金の不足分が追加徴収されます。この差額調整が「年末調整」といわれるもので、年末の時点で勤務している会社が実施します。

みなさんは、年末が近づくと、扶養親族の数を申告する書類(扶養控除申告書)などの提出を会社から求められると思いますが、それは、年末調整で使うものです。必ず提出するようにしてください。

なお、各人の年末調整の結果は、年明けに配布される「源泉徴収票」に記載されています。1年間に自分がもらった給与総額や納付した所得税額を確認して、疑問点があれば、人事部に問い合わせてみてください。

3.住民税は、前年の収入について徴収されるもの

住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に納める税金(地方税)で、所得税と同様に、収入に税率を掛けて徴収額を算定します。税率は、各地域により異なりますが、おおよそ10%で、それに数千円の税を上乗せして徴収する場合もあります。

「都度払い・年末調整」という納付方式をとっている所得税と異なり、住民税は、前年の収入を確定させたうえで、その分の税額を分割して納付する「後払い」方式をとっています。この後払い方式であることが、様々な不都合を生じさせることがあるので注意が必要です。

例えば、今年から働き始めたパート従業員の場合、前年の収入がゼロであれば、今年の給与から住民税は天引きされませんが、翌年6月の給与からは、今年働いた分の収入にかかる住民税が、毎月、徴収されます。つまり、今年と翌年の給与が同額の場合、翌年のほうが住民税を引かれる分だけ手取り額が減ってしまうことになるのです。

4.退職時に未納付の住民税が一括徴収されることもある

住民税は、1年間(原則として6月から翌年5月までの1年間)に支払うべき税額が確定しているものなので、退職する場合には、原則として、未納付分の税金をまとめて支払うことが必要になります。

みなさんは、一発屋の芸人が次の年に税金が払えなくて苦労する話を耳にしたことはありませんか?この話は、ほとんどの場合、住民税が関係しています。所得税は、売れているときにギャラから天引きされるので、納付に問題は生じません。ところが、住民税は、売れなくなってギャラがなくなったときに、前年の収入に基づく多額の税金が徴収されるわけです。そこで「税金が払えない」ということも出てきてしまうのです。

これほど極端ではなくても、似たようなことは、普通に働いている人でも起こりえます。

収入が多かった年の翌年は住民税が多く徴収されること、退職するときには前年の収入に係る住民税がまとめて請求されることなどは、みなさんも知っておいたほうがよいでしょう。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。

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