賃金を「日払い」で受け取ることはできますか?

〜賃金の「締め日」と「支給日」に関する基礎知識〜

1.「日払い」と「日雇い」の違いとは

「自分の空いた時間にアルバイトをして、働いた日のうちに賃金をもらいたい」、「給料日は2週間後だけれど、急にお金が必要になったのですぐに賃金を受け取りたい」と思ったことがある人もいるでしょう。このような賃金の受け取り方は可能でしょうか?

求人広告などでは「日払い」「日雇い」などと表記されているのをよく見かけます。これらは似た言葉ですが、違う意味を持っています。「日払い」は、賃金の支払いに関する言葉で、賃金の締め日が1日ごとという意味です。一方、日雇いは、雇用期間に関する言葉で、1日ごとに契約を締結して働くことを意味します。いずれの場合も、働いた日ごとに賃金が計算されますが、支給日がその日であるとは限らず、数日後もしくは1週間ごとになることもあります。なお、「即日払い」と明記してある場合は、基本的には、働いた日のうちに賃金が支給される(多くの場合、その日の仕事が終わったときに、現金で支給される)こと意味します。

2.賃金の支払いには5つのルールがある

日払いのアルバイトにしろ、給料日が決まっているパート従業員にしろ、労働基準法における賃金の定めを知っておくと、いざというときに役に立ちます。労働基準法第24条では、賃金を支払うときの会社が守らなければならないルールとして、次の5つを規定しています。(これを「賃金支払いの5原則」といいます)

(1)通貨払いの原則
現金(労働者が指定した金融機関の口座への振り込みは可)で支払うことを原則とし、特別な場合を除き、現物払いは認められません。

(2)直接払いの原則
本人に直接支払うことを原則とし、病気等で家族等に代理で受け取ることを頼んだ場合を除き、本人以外の者に賃金を支払うことはできません。

(3)全額払いの原則
働いた分の一部の賃金しか支払わなかったり、会社が無断で賃金の一部を控除(天引き)したりすることはできません。

(4)毎月払いの原則
1ヶ月に1回以上、賃金を支払わなければなりません。例えば、2カ月間の期間を定めて雇用されている従業員に対して、契約終了時(2か月後)に、賃金をまとめて支払うことはできません。

(5)一定期日払いの原則
「毎月25日」あるいは、週払いの場合は「毎週金曜日」など特定の日を定めて賃金を支払うことを原則とします。

3.賃金の締め日と支給日を確認しよう

パート従業員の場合、一般的には、正社員と同じように、賃金の締め日と支給日を月1回定める契約を締結します。例えば、賃金について「月末を締め日として、当月分の賃金を翌月25日に支給する」という契約を締結した場合、1月1日から働き始めても、1月25日の給料日には賃金は支給されず、2月25日に1月分の賃金が支給されることになります。つまり、賃金の締め日や支給日によっては、働いてから賃金を受け取るまでに、1カ月程度の間が空いてしまうことがあるので、注意が必要です。

日払いや日雇いで働く場合は、働いた日が賃金の締め日になりますので、普通は、支給日との間隔は、これほど長くはなりません。しかし、「今日の分の賃金がいつ支給されるのか分からない」ということでは不安になるでしょうから、賃金の締め日と支給日を最初にしっかりと確認しておいたほうがよいでしょう。

4.病気などの場合は、賃金の前払いを請求することも可能

ところで、労働者側の都合で急にお金が必要になった場合に、賃金を前倒しで受け取ることはできるのでしょうか?

労働基準法第25条では、会社は、労働者が、出産、疾病、災害等の非常の場合の費用に充てるために請求してきた場合は、賃金支払期日前であっても、既に働いた分の賃金を支払わなければならない、と定めています。したがって、病気になったなどの場合は、賃金を前倒しで受け取ることは可能です。

ただし、実際には、よほどのことがない限り、労働者側から「急にお金が必要になったから、働いた分の賃金を支払ってくれ」とは言えないでしょう。少なくとも、「この従業員は、賃金の前払いが必要なほど生活に苦しんでいる」という、良くない印象を会社や同僚に与えてしまいます。自分で非常時の場合の費用を貯金しておいて、このような特別ルールを使わなければ、それに越したことはありません。

 

以上、まとめると、基本的に、賃金は、毎月1回、期日を定めて支給されるもので、「日払い」であることが明示されていない限り、働いた日ごとに受け取ることは難しいということになります。ですから、すぐにでもお金が必要な場合には、「日払い・即日払い」の仕事を探すように、そうではない場合でも、賃金の締め日や支給日を確認して、いつ賃金が支給されるのかを知っておくようにしましょう。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。

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