入社時に確認するべき労働条件とは?

~契約期間、労働時間、賃金などについては、必ず確認する~

1.労働条件の確認は、契約書にサインする前に行う

入社が決まった会社の初出勤日。その会社の人事部から賃金や労働時間等に関する説明を受けたところ、求人広告で見た労働条件等と大きく違っていたということはありませんか?

こういうとき、ほとんどの人が、「話が違う」と戸惑いつつも、「入社初日から会社ともめたくない」と思い、とりあえず手渡された労働契約書にサインしてしまいます。

しかし、契約書にサインすれば、その人自身が、その場で受けた説明の内容を認めたことになりますので、後から「入社前に聞いていた労働条件と異なる」と不満を述べても、会社は取り上げてくれません。ですから、労働者は、労働条件について納得できない点があるときは、契約書にサインする前に、その場で確認することが必要です。

2.契約期間、労働時間、賃金は必ず確認すること

それでは、入社にあたり、どのような労働条件を確認すればよいのでしょうか?

労働基準法第15条は「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定めており、さらに、同法施行規則第5条では、使用者が労働者に対して必ず明示しなければならない労働条件として、具体的に次の項目を挙げています。

(1)労働契約の期間
(2)労働契約を更新する場合の基準
(3)就業の場所および従事すべき業務
(4)始業および終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇など
(5)賃金の決定、計算および支払の方法 など
(6)退職に関する事項

これらの労働条件に会社と労働者との間で食い違いがあると、後々、大きなトラブルを引き起こしかねません。契約書にサインする前に、必ず確認するようにしてください。なお、使用者は、これらの労働条件を明らかにするために、労働者に対して書面(労働条件通知書、契約書と一体でも可)を交付することが義務づけられています。もし、会社が労働条件通知書を渡してくれないときには、自分から請求して、必ずもらうようにしてください。

3.労働条件通知書と求人広告の記載内容が違う場合もありうる

なお、労働条件通知書に記載されている賃金が、求人広告に表示されていた賃金と違っていたとしても、必ずしも問題がある(会社が嘘をついている)とは言えません。求人広告に表示した賃金は、あくまでも不特定多数の人に向けて出されたものなので、それが、その労働者に当てはまるとは限らないからです。普通は、採用面接等で会社と労働者との間で賃金の確認が行われますが、それが行われなかったのであれば、労働者は、入社時に通知書で賃金をチェックし、納得できない点があれば、会社に説明を求めることが必要です。

労働時間や残業の有無、シフトに関することも同様です。通知書の記載内容を確認し、面接等で聞いていた話と異なっているならば、その時点で会社に説明を求めたほうがよいでしょう。

4.入社後に労働条件の違いに気がついた場合の対応

実際に働いてみたら、労働条件通知書に記載された労働条件と違っていた場合は、どうすればよいでしょうか?

労働基準法第15条第2項には「明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる」と定められています。ですから、まずは、会社に通知書の記載内容と実際の労働条件が違っていることを伝え、それでも改善されないならば、会社から何と言われようが、早めに退職したほうがよいでしょう。

なお、労働条件通知書と実際の労働条件が著しく違っていたことにより退職した場合、ハローワークにその旨を言えば、「特定受給資格者」と認められて、雇用保険の給付が普通の退職者よりも手厚くなることがあります。

ブラック企業に関する事件が後を絶たない今日、労働者も強くならなくてはいけません。労働条件について「話が違う」と思う場合は、泣き寝入りせずに、会社に言って確認してもらう、それが原因で退職した場合には、ハローワークにその旨を伝える等、労働者も毅然とした対応をとることが必要です。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。

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