どういうときに社会保険の給付がもらえますか?  (その2)

~知らなきゃ損する! こういうときにも保険給付が受けられる~

1.パート従業員も正社員と同じ保険給付が受けられる

社会保険の給付の内容は、正社員とパート従業員との間で違いはありません。ところが、パート従業員の中には「パートには社会保険の給付がない」と思い込んでいる人も多く、それらの人が、支給されるはずの保険給付を請求しないまま、もらいそこねているケースをよく見ます。

ここでは、多くのパート従業員が、請求手続きをせずに、もらいそこねている保険給付について紹介します。

2.医療費が一定額を超えると、超えた部分を払い戻してもらえる

同一月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が健康保険から払い戻されます。これを「高額療養費」といいます。自己負担限度額は、その人の報酬や医療費等によって変わりますが、報酬月額が27万円未満であれば57,600円(市区町村民税の非課税者等であれば35,400円)です。

自己負担額は、複数の病院に支払った医療費や家族の分の医療費も合算することもができます。また、高額療養費として払い戻しを受けた月数が直近1年間で3か月以上あった場合は、4か月目から自己負担限度額は44,400円(市区町村民税の非課税者等であれば24,600円)に引き下げられます。

高額療養費をもらうには、病院等に支払った医療費を記入した申請書を健康保険組合等に提出することが必要です。病院で診療を受ける回数が多い人は、医療費の領収書を保管しておいて、高額療養費の請求をするとよいでしょう。

3.病気や出産のために会社を休んだときに給付金をもらえる

業務外の事由による病気やケガのために会社を休み、会社から報酬を受けられない場合は、休業日1日につき1日分の報酬の3分の2に相当する給付金(傷病手当金)が健康保険から支給されます。傷病手当金は、療養のため会社を休んだ日から連続して3日間の後、4日目以降の仕事につけなかった日に対して支給され、支給対象期間は、開始日から最長1年6ヵ月間となります。

また、出産予定日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日の翌日以降56日までの範囲内で会社を休み(つまり、産前産後休業を取得して)、給与の支払いがなかった期間についても、休業日1日につき1日分の報酬の3分の2に相当する給付金(出産手当金)が健康保険から支給されます。

なお、傷病手当金、出産手当金は、退職日までに継続して1年以上の健康保険に加入しており、退職時にそれらの手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていれば、退職後も引き続き受け取ることができます。病気や妊娠等で働くことが困難になったパート従業員は、その時点で退職してしまうことが多いのですが、傷病手当金・出産手当金の受給条件を満たしてから退職すれば、これらの給付金を受け取って、退職後も一定の収入を確保することができます。

4.育児休業、介護休業を取得した場合も給付金がもらえることがある

パート従業員も、一定の要件を満たせば、育児休業や介護休業を取得することができます。これらの休業期間中、勤務先から受け取る報酬が大幅に減ってしまった場合には、雇用保険から、原則として休業開始時の報酬の67%相当額の「雇用継続給付」をもらえることがあります。

この給付金を受けるには、原則として、勤務先を通してハローワークに支給申請することが必要になりますから、育児休業、介護休業を取得したいと考えているパート従業員は、勤務先と相談してみるとよいでしょう。

5.出産したとき、本人・家族が死亡したときに一時金がもらえる

健康保険に加入している本人およびその被扶養者が出産したときは、「出産育児一時金」として1児につき42万円が支給されます。また、本人および被扶養者が死亡したときには、「(家族)埋葬料」として5万円が支給されます。なお、出産育児一時金については退職日翌日から6ヵ月以内に出産した場合、埋葬料については退職日翌日から3ヵ月以内に死亡した場合等も支給されます。

出産前に退職するパート従業員は、退職の際に出産育児一時金の請求方法などを確認しておいて、出産後は忘れずにその手続きをするようにしましょう。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。

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