どういうときに社会保険の給付がもらえますか?  (その1)

~病気やケガ、失業、高齢などのときに受けられる保険給付~

1.社会保険の給付を受けるには、原則として、請求手続きが必要

社会保険に加入しているパート従業員は、病気や失業など日常生活を送るうえで支障が生じるような事態(保険事故)が起こった場合に、国から保険給付を受けることができます。ただし、社会保険の給付は、基本的に、給付を受ける者が請求の手続きをしないと支給されません。したがって、社会保険に加入しているパート従業員は、「どういうときに、どこから保険給付が行なわれるのか」を知っておいて、保険事故が発生したときには、自分から請求手続きをすることが必要です。

ここでは、どのようなときに保険給付が行なわれるのか、具体的にみていきたいと思います。

2.病気やケガをして病院等で治療を受けたとき

病気やケガをして病院等で治療を受けたときには、病院窓口で「健康保険証」を提示すれば、治療費の7割が健康保険から支払われることになり、自分で病院に支払う金額(一部負担金)は、治療費の3割となります。これを「療養の給付」と言います。

この保険給付は、本人以外にも、子供などの扶養家族に対しても行われます。なお、小学校入学前または70歳以上の扶養家族が病院で支払う一部負担金は、原則として治療費の2割となります。健康保険は、扶養家族が増えても保険料が高くなることはありませんから、扶養の条件を満たす家族がいたら、その全員を申請するようにしましょう。

健康保険から療養の給付が行なわれるのは、「業務外」の理由で発生した病気やケガに限られます。「業務上(通勤も含む)」で発生した病気・ケガについては、健康保険ではなく、労働者災害補償保険(労災保険)から治療費等が支給されます。この場合、原則として、治療費全額が労災保険から支払われることになり、本人が病院に支払う一部負担金はありません。職場で仕事中にケガをした場合には、健康保険の保険給付を受けるのではなく、業務上の災害として事業者に届け出て、労災保険による補償を受けるようにしましょう。

3.失業したとき

失業したときには、雇用保険から、退職前の月額賃金の50~80%に相当する額が「基本手当」として支給されます。この支給を受けるには、「退職日以前2年間に、雇用保険の加入期間(雇用保険料を納付した期間)が通算して12か月以上あること(ただし、有期契約で雇用されているパート従業員が期間満了により退職する場合は、退職日以前1年間の雇用保険加入期間が通算して6か月以上あれば可)」等の支給要件を満たすことが必要です。

基本手当は、失業している者がハローワークに行って、求職の申し込みをしない限り支給されません。また、ハローワークで求職の申し込みをしても、その場ですぐに基本手当を受け取れるわけではなく、支給は早くても4週間後となります。基本手当を受けようとする人は、退職したら早めにハローワークに行って、求職の申し込みをするようにしてください。

4.高齢(65歳以上)のため、働かなくなったときなど

65歳以上になって働かなくなったときには、厚生年金保険から老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)が支給されます。この年金を受けるには、「保険料を納付した期間と保険料免除期間の合計が25年以上であること」等の支給要件を満たすことが必要です。

年金の支給額は、保険料を納付した期間や在職中の報酬額によって異なり、また、男性は1961年4月1日以前、女性は1966年4月1日以前に生まれた人の場合、65歳前でも老齢年金の一部を受け取ることができます。年金の支給額や支給開始年齢については、日本年金機構から郵送される「ねんきん定期便」等で確認してください。

厚生年金保険には、障害の状態になったときや死亡したときに年金を支給する仕組みもあります(死亡の場合は、遺族に年金を支給)。なお、業務上の災害で、従業員が一定の障害状態になったときや死亡したときには、労災保険からも障害補償年金や遺族補償年金が支給されます。厚生年金保険と労災保険の両方から保険給付が行なわれる場合、過払い支給にならないように、労災保険の年金額が減額調整されます。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。

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