社会保険に加入しないパートは、どうなりますか?

~配偶者の被扶養者になるか、国民健康保険・国民年金に加入することが必要~

日本に住んでいる限り、何らかの医療保険・年金制度へ加入しなければならない

私たちは、病院で医療費を支払うときに、月に一度「保険証」を提示します。こうすると、医療費の自己負担は3割となり、残り7割は加入している医療保険から支払われます。私たちが、気軽に病院で診察や治療を受けられるのは、医療費の7割を医療保険が負担してくれているからです。

日本の法律は、日本に住んでいる人(外国人も含む)が気軽に医療を受けられるように、また、老後の生活が安心して送れるように、何らかの医療保険と年金制度に加入することを義務づけています。勤務先の社会保険に加入しないパート従業員も、「配偶者が加入する社会保険の被扶養者になる」あるいは「自分で国民健康保険と国民年金に加入する」ことにより、医療保険・年金制度に組み入れられることになります。

年収130万円未満であれば、配偶者が加入する社会保険の被扶養者になれる

「配偶者が加入する社会保険の被扶養者になる」ということは、正確に言うと、医療については健康保険の被扶養者に、年金については厚生年金保険の第3号被保険者になるということです。この場合、配偶者が加入している社会保険が医療・年金の費用を負担してくれますので、本人は社会保険料を支払う必要がなくなります。

配偶者が加入する社会保険の被扶養者になるためには、次の要件を満たすことが必要です。

(1)自分自身が勤務先の社会保険に加入する要件を満たさないこと
(2)社会保険に加入している配偶者がいること
(3)自分の年収が130万円未満であること

もともと「被扶養者」という仕組みは、夫が会社員、妻が専業主婦という役割分担が一般的だった時代に、夫が加入する社会保険で妻の医療・年金もカバーすることを目的として作られたものです。パート従業員である妻であっても、年収130万円以上働くと、もはや「専業主婦」とは言えないので、夫の被扶養者として認めてもらえなくなるのです。

年収130万円以上の人は、国民健康保険と国民年金に加入する

勤務先の社会保険に加入していない人で、年収130万円以上の場合、または社会保険に加入している配偶者がいない場合は、国民健康保険および国民年金に加入することになります。

この場合は、国民健康保険で賃金の約8%(市町村、前年年収等により保険料が異なります)、国民年金として月16,260円(全国共通、2016年度)の保険料を納めなければなりません。

ところで、「配偶者の被扶養者になった場合」と「自分で国民健康保険と国民年金に加入した場合」とでは、保険給付でどのような違いが出てくるのでしょうか。

実は、医療費負担や老後の年金などの保険給付については、両者の間にほとんど違いはありません。ともに医療費の本人負担は通常3割ですし、老後の年金として支給される「基礎年金」は同額です。保険給付が同じで保険料負担が無いのであれば、国民健康保険・国民年金に加入するよりも、配偶者の被扶養者になった方がよいということになります。

無保険状態になると、生活に支障が生じる

保険料を払いたくないので、勤務先の社会保険にも、国民健康保険・国民年金にも加入しない。しかし、配偶者がいないので被扶養者にもなれない。このような「無保険状態」の人は、どうなるのでしょうか。

まず、病気やケガをしたときに病院に支払う医療費が、健康保険等に加入している状態と比較して、極端に高くなってしまいます。また、年金保険料を支払ってこなかったので、65歳を過ぎても公的年金が支給されない、支給されたとしても低額になることが予想されます。このように無保険状態になると生活に様々な支障が生じてしまいます。

気をつけなければいけないのが、自分でも知らないうちに無保険状態に陥ってしまうことです。例えば、配偶者と離婚した場合、被扶養者から外されただけで、勤務先の社会保険にも、国民健康保険・国民年金にも加入していない無保険険状態に陥っていることがあります。

自分が無保険状態に陥っていないかどうかをチェックする最も簡単な方法が、自分の名前が記載された「保険証」の有無を確認することです。保険証があれば、少なくとも医療保険については、何らかの保険に加入しているので、まずは一安心です。これがない場合は「無保険状態」に陥っている可能性が高いので、市町村の窓口に行って国民健康保険・国民年金の加入手続きをする等の対応をとらなければなりません。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。

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