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パートでも育児休業や介護休業をとることができるでしょうか?

ピックアップ 社労士

パートで遭遇するさまざまなトラブル・・・。
あなたの疑問に社労士がお答えします。

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パートでも一定の要件を満たせば、育児休業・介護休業を取得できる

<質問>

私は現在パートで働いていますが、先日子供を授かりました。出産・育児のためにパートを続けることができなくなりますが、それらが落ち着いたら、今の職場に戻って仕事をしたいと思っています。パートの私でも育児休業をとることはできるのでしょうか?また、育児休業期間中、賃金はどうなるのでしょうか?

パートでも一定の要件を満たせば、育児休業・介護休業を取得できる

<回答>

「育児休業」とは、労働者が、子供が1歳になるまでの希望する期間、育児のために休業することをいいます。(子供を保育所に預けられないといった事情がある場合は、1歳6か月まで休業を延長することもできます。なお、男性も取得できます。)

期間を定めて雇用されるパートの場合、勤務先に申し出る時点で次の要件を満たせば、育児休業を取得することができます。 

1. 同一の事業主に過去1年以上継続し雇用されている
2. 子が1歳6か月になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでない

子が1歳6か月になるまでに現在の雇用契約が期間満了となるパートでも、契約が更新される可能性があれば、②の要件を満たすことになり、育児休業を取得できます。

一方、「介護休業」とは、要介護状態にある家族を介護する労働者が、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分割して休業を取得できる制度をいいます。期間を定めて雇用されるパートが介護休業を取得する場合、次の要件を満たすことが必要です。

1. 同一の事業主に過去1年以上継続し雇用されている
2.介護休業を取得する日から9カ月を経過する日までの間に雇用契約がなくなることが明らかでない

なお、期間の定めがない契約で雇用されているパートの場合は、育児休業、介護休業ともに、正社員と同じように取得できます。ただし、会社によっては「雇用期間が1年未満である」「週の所定労働日数が2日以下である」などの場合を育児・介護休業の対象から外していることがありますので、詳しいことは就業規則等で確認することが必要です。

休業期間中は、雇用保険から給付金が支給される

一般的に、育児・介護休業期間中、会社からの賃金は支払われません。実際に働いてないことを考えれば、これは仕方がありません。

その代わりに、一定の要件を満たせば、雇用保険などから次の給付金が支給されます。

(1)出産・育児に関する給付金
女性が出産する場合、産前6週間(多胎妊娠の場合14週間)および産後8週間は、労働基準法に基づいて、産前産後休業を取得することができます。この期間中は、健康保険から1日につき賃金の3分の2に相当する額の「出産手当金」が支給されます。

産後休業が終了した日の翌日から育児休業が始まりますが、この期間中は、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。その額は、原則として、休業開始時の賃金の月額の67%(休業開始から6カ月経過後は50%)です。

(2)介護に関する給付金
介護休業期間中は、雇用保険から「介護休業給付金」が支給されます。金額は、育児休業と同じく、原則として休業開始時の賃金の月額の67%です。 

育児休業給付金・介護休業給付金をもらうには、「休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある月が12か月以上ある」などの一定の要件を満たすことが必要です。また、出産手当金は、健康保険に加入している場合に支給されるものなので、配偶者の被扶養者になっているパートには支給されません。

育児・介護休業の取得を考えている人は、休業期間中の賃金や給付金について、勤務先の人事部に確認するとよいでしょう。

パートも育児、介護休業を積極的に取得しよう

これまで、出産・育児や介護をしようとするパートは、いったん勤務先を退職して、落ち着いたら、新たな勤務先を探して仕事を始める、というパターンをとっていました。最近は、法改正により休業取得の要件が緩められたり、育児・介護に対する職場の理解が深まったりして、パートでも育児・介護休業が取得しやすくなっています。また、育児・介護休業には、「慣れた職場・仕事に復帰できる(あらためて職探しをする必要がない)」ということ以外にも、「休業期間中に給付金を受けられる」「社会保険に加入し続けることが可能(保険料の支払いは免除される)」などのメリットもあります。
これからは、パートの皆さんも、育児・介護休業の取得を積極的に考えていくべきです。

ご質問されたパートの方も、「1年以上雇用されている」などの要件を満たせば、育児休業を取得できます。なお、休業期間中、賃金は支給されませんが、一定の要件を満たしていれば、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。

まずは、育児・介護休業の取得について、勤務先の人事部に相談してみてください。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

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Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。

会社のパソコンを壊したら、弁償しなければなりませんか?

困った時 社労士

パートで遭遇するさまざまなトラブル・・・。
あなたの疑問に社労士がお答えします。

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あなたの落ち度で会社の備品を壊した場合には、損害賠償を求められることもある

<質問>

仕事中、パソコンの上にお茶をこぼして、壊してしまいました。上司に報告したら、新しいパソコンを購入する手配をしてくれましたが、「君に弁償してもらうから、パソコンの購入代金を今月分の給与から天引きする」と言うのです。

こういう場合、全額を弁償しなければならないのでしょうか?

また、弁償する場合、給与から天引きされるのはしかたがないことでしょうか?

弁償させるとしても、損害額の一部にとどめるのが一般的

従業員が、故意または重大な過失によって会社の備品などを壊してしまった場合、会社は、その従業員に損害賠償を求めることができます。ただし、実際には、よほどのことがない限り、会社が従業員に損害賠償を求めることはありません。また、弁償させるとしても、実際に生じた損害額の一部にとどめることが一般的です。

「パソコンの上にお茶をこぼす」ことは、職場において日常的に発生しうることですし、あなたも悪気があってこぼしたわけではないと思います。それなのに、あなたにパソコンを壊した責任すべてを負わせて、パソコンの購入代金全額を弁償させるのは、会社の対応としては、やや「行き過ぎ」といえるでしょう。例えば、過去の裁判では、労働者が居眠りにより操作を誤って機械を破損した事案において、損害額の25%に限って賠償責任を認めています。そういうことを踏まえると、あなたに弁償させるとしても、せいぜいパソコン代金の20%~30%が妥当なところと考えられます。

上司は、実際に生じた損害を賠償させるというよりも、あなたや職場のみんなの気持ちを引き締めるために、「うっかりミスへの制裁を科す」という意味で、弁償を求めているのかもしれませんね。

たとえ、このような制裁の意味であったとしても、従業員に損害額の全部を弁償させることは、やはり「行き過ぎ」だと思います。そもそも、制裁処分としての弁償を求めるのであれば、その旨、就業規則に明記されていなければなりません。就業規則に「故意または過失により会社に損害を与えたときは減給とする」などの定めがなければ、原則として、会社は、備品を壊した従業員に制裁処分を科すことはできません。そういう記載があるかどうか、あなたの会社の就業規則を確認しみてください。

あなたの承諾なしに、給与から天引きすることはできない。

なお、弁償額の給与からの天引きについては、あなたから会社へ申し出ない限り、会社は行うことはできません。労働基準法第24条において、会社が給与から天引きできるのは、「法令に別段の定めがある場合(例えば、源泉所得税や社会保険料など)」および「労働組合または労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合(例えば、社内預金の積立額の天引きなど)」に限られています。したがって、あなたが弁償を行うことになったとしても、給与天引き以外で支払うことを希望すれば、会社は弁償額を給与から天引きすることはできません。

今、あなたがとるべき対応は?

ここまで述べてきたことをまとめると、あなたがとるべき対応は、次のようになります。

まず、自分の不注意で会社のパソコンを壊してしまったことを素直に反省して、もう一度、上司に謝ることです。上司は、壊れたパソコンのことよりも、職場全体の気持ちの緩みを考えて、「弁償しろ」と言っているようにも思えます。あなたが、自分に非があったことを認めて、このようなミスをしないよう、しっかりと仕事をすることを誓えば、上司は「そこまで反省しているのであれば、今回ばかりは大目に見よう」と態度を変えてくるかもしれません。そうなれば、あなたが弁償するという話自体がなくなり、すべてが丸く納まります。

 

それでも弁償を求められたら、どれくらいの負担が妥当か、上司との間で話し合うことが必要です。常識的に考えれば、あなたが弁償に応じるとしても、新しいパソコンの購入代金の20~30%の負担が妥当なところです。それを超える負担を上司から求められたら、「自分に非があったとはいえ、弁償の負担が重すぎる」と、あなたの意見をはっきりと伝えましょう。上司が意見を聞き入れてくれないのであれば、会社の人事部や総務部などに相談して、話し合いに入ってもらうとよいでしょう。

 

また、給与から弁償額を天引きされることが嫌ならば、会社にはっきりと伝えてください。あなたが同意していない限り、会社は弁償額を給与から天引きすることはできません。逆に、上司から「弁償額は、現金で、私に渡せ」という指示があった場合は、念のため、人事部や総務部など、その旨の確認をとるようにしましょう。上司が、会社に無断で弁償を求め、そのお金を着服してしまう可能性がないとは言えません。上司の独断ではなく、会社の対応として弁償が求められており、しっかりと処理されるのかどうか、あなたから確認したほうがよいでしょう。

 

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

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Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。

遅刻したら、賃金が減らされた。 これってあり?

社労士 ピックアップ お金のキホン

~原則として、働かなかった時間分の賃金は支給されない~

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1.「ノーワーク・ノーペイの原則」とは

「子供を保育園に送ってから出勤したら、10分遅刻してしまいました。これぐらいの遅刻なら許してもらえて、時給は普通に支給されるでしょうか?」

という質問を受けることがあります。

このような場合、一般的には、遅刻した時間分の賃金は支給されません。労働契約とは、労働者が労働した場合に、その使用者が賃金を支払うことを定めるものですが、これは、逆に言えば、労働者が労務の提供をしなければ、対応する賃金の支払い義務が生じないということを意味します。(これを「ノーワーク・ノーペイの原則」といいます)

ですから、例えば時給が900円の場合、10分遅刻をしたら、その1時間について時給から150円(=900円÷60分×10分)が差し引かれたとしても当然のことと言えます。

2.罰金には労基法で上限額が定められている

「働かなかった時間分の賃金が支払われない」のは仕方ないにしても、遅刻した罰(制裁)として、さらに賃金減額を行なう会社もあります。例えば、「遅刻した場合は1回につき500円を賃金から差し引く」というものですが、このような制裁を行なうのであれば、会社は、就業規則でそのようなルールを定めておくことが必要です。なお、就業規則で減給の制裁を定める場合は、労働基準法第91条の「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」という制限に従わなければなりません。例えば、平均賃金が1日5000円の労働者については、1回の遅刻に対する罰金の上限額は2500円になり、その月に支払われる賃金の総額が10万円ならば1万円を超える額の罰金を科すことはできない、ということになります。

なお、10分遅刻した場合に、30分間遅刻したものとして賃金カットを行っている会社もあります。これは、「労働時間の算定において細かい計算が大変なので、30分単位で賃金を支給する」という事務処理上の都合から生じているケースが多いのですが、この場合は、「遅刻した10分間の賃金減額はノーワーク・ノーペイの原則によるもの」で、「出勤後の20分間の賃金減額は制裁によるもの」というとらえ方になります。

3.電車が遅れた場合には、遅刻が免除されることもある

ところで、遅刻といっても、寝坊などの自分の不注意である場合と、そうではない場合(自分に落ち度がない、不可抗力による場合)があります。後者の例としては、電車が遅れたために出勤時刻に間に合わなかった場合などがありますが、このようなときには、自分に落ち度がなかったことを証明できれば(例えば、公共交通機関からもらった「遅延証明書」があれば)、遅刻扱いは免除されるのでしょうか。

一般的には、こういう場合でも「ノーワーク・ノーペイの原則」が適用されて、賃金は支払われません。ただし、会社によっては遅延証明書の提出を条件として遅刻を免除してくれるというルールを設けている会社もあります。こういう場合は、遅延証明書を忘れずにもらってくるようにしなければなりません。

4.遅刻の取扱いや制裁については就業規則で確認すること

このように、遅刻した場合は、「ノーワーク・ノーペイの原則」に従って、その時間分の賃金が支払われないということが一般的に行われていますが、「さらに罰金(減給の制裁)が科せられる場合」「労働時間の集計を30分単位で行なうなど、実際に遅刻した時間以上の賃金減額が生じる場合」および「電車遅延などの不可抗力であれば遅刻が免除される場合」など、会社によってその取り扱いは様々です。遅刻の場合の具体的な取扱いや制裁の内容などについて、各自で就業規則を確認しておくことが大切でしょう。

また、不測の事態に備えて会社には始業時刻よりも少し早めに到着するように心がけること、遅刻が確実になった場合は職場にすぐに連絡することなども必要です。「賃金が支払われるかどうか」「自分のせいかどうか」には関係なく、遅刻をすれば、同僚に迷惑をかけてしまいます。職場のマナーとして、一人ひとりが遅刻をなくすように努力していかなければなりません。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

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Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。

セクハラを受けたら、どうすればいいの?

社労士 ピックアップ 困った時

~泣き寝入りせずに、しっかりとした対応をとることが重要~

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1.「セクハラ」とは

「セクハラ」とは、「セクシュアルハラスメント」の略です。男女雇用機会均等法においては、「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること」または「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること」をいいます。

例えば、上司や同僚から食事やデートへの執拗な誘い、性的な冗談やからかい、身体への不必要な接触、性的関係の強要などを受けることです。職場でこのようなセクハラにあった場合、どうすればよいのでしょうか?

2.まずは、相手に拒絶の意思表示をすること

セクハラの被害にあった時、まずはっきりと拒絶することが大切です。不快と感じる言動は人によって感じ方が様々なため、はっきりと拒絶の意思を示し、その行為がセクハラだということを相手に伝えてください。なぜなら相手がその行為をセクハラと思っていない場合も多々あるからです。我慢したり、無視したりすると事態を悪化させてしまうかもしれません。

しかし、加害者との今後の関係性を考えると自分では拒絶することができないと感じる場合、あるいは拒絶しても相手がセクハラを続けてくる場合があります。このような時は自分で解決しようとするのではなく、速やかに会社の相談窓口や信頼できる上司に相談し、会社としての対応を求めるようにしてください。取引先や顧客などからセクハラを受けた場合も同じです。自分の勤める会社へ相談をしてください。労働組合がある場合は、労働組合に相談してもよいでしょう。

3.事業主(会社)にはセクハラ対策が義務付けられている

事業主(会社)側としても、相談をされる体制は整っているはずです。職場におけるセクハラを防止するために、男女雇用機会均等法及び事業主が雇用管理上講ずべき措置として、厚生労働大臣の指針が定められており、会社は、これらを実施しなければならないからです。具体的には、会社は、次の事項の実施が義務づけられています。

・セクハラの相談窓口を定め、適正に対処すること
・セクハラが発生した場合、行為者および被害者への措置を適正に行うこと・再発防止に向けた措置をとること
・相談者や行為者等のプライバシーを保護し、不利益な取扱いを行ってはならないこと 等

なお、ほとんどの会社が、セクハラの相談窓口を総務・人事部門に設置しています。勤務先の相談窓口が分からない場合、まずは、総務人事部門に連絡してみるとよいでしょう。

4.会社が改善しない場合は労働局や弁護士などに相談する

会社に改善を求めても、対応をしてくれない、認めてくれない、ということもあります。とくに、立場が高い者や取引先の関係者がセクハラの加害者であった場合、会社から「それぐらい我慢しろ」と言われて、相談にいった被害者の方が傷ついてしまうこともあります。こうなると、もはや会社に頼ることはできないので、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)や弁護士などに相談せざるをえません。ちなみに、弁護士に相談した場合は、加害者に対して不法行為に基づく慰謝料請求を行うことになり、また、セクハラを改善しなかった事業主は、男女雇用機会均等法違反とともに、使用者責任によって加害者と連帯して損害賠償の責任を負うこともあります。

このように、都道府県労働局や弁護士に相談してセクハラの解決を図ろうとすると、どうしても話が大きくなってしまうので、被害者が職場にいづらくなるという状況に陥ることにもなりかねません。したがって、社外の者に相談する事態に至らないよう、できるだけ会社で改善してもらうように働きかけることが必要です。

5.「おかしい」と感じたことを言い合って、ハラスメントのない職場にしよう

セクハラ以外にも、職場におけるハラスメント(嫌がらせ)には、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える「パワーハラスメント」や女性の妊娠・出産が業務に支障をきたすとして退職を促すなどの嫌がらせをする「マタニティハラスメント」等があります。

「これはおかしいな」と感じた場合は、まずは身近な人や会社の窓口に相談してみましょう。自分だけの問題と泣き寝入りすることはありません。同じ問題で悩んでいる人が、他にもいるかもしれないからです。「おかしい」と感じたら、みんなで言い合うこと。これが、ハラスメントのない、働きやすい職場づくりにつながるのです。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

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Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。

「確定申告」とは何ですか?

ピックアップ 社労士 お金のキホン

~年末調整後でも税金が戻ってくることがある!~

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1.「確定申告」とは?

パートやバイトでも、正社員でも会社から給与を受け取っている人は毎月の給与から源泉所得税を引かれ、その年最後の給与等の支払時に、1年間の所得税を「年末調整」することで納税が終了します。一方、「年の途中で退職して年末調整を受けていない人」や「会社から受け取る給与以外の所得がある人」などは、自分で1年間の所得を税務署に申告することによって、すでに納付した源泉所得税とその年の所得税との調整を行います。これを「確定申告」といい、毎年2月中旬から3月中旬にかけて実施されます。

この確定申告をすると、年末調整をした人でも、いったん納付した税金が戻ってくる場合があります。

2.「医療費が多い人」や「年の途中で退職した人」は確定申告で税金が戻ってくる

確定申告により税金が戻ってくるケースをいくつか紹介します。

(1)自分や家族の医療費の年間合計額が10万円を超える場合
自分もしくは同一生計の配偶者や親族の年間医療費が10万円を超えた場合は、確定申告のときに10万円を超えた分を所得から控除(医療費控除)することができます。医療費控除で年間所得が少なくなることにより所得税も減額となり、その分、納付した所得税が戻ってきます。医療費控除を受けるには、医療機関からのレシートと、給与所得者は源泉徴収票が必要になります。

(2)住宅ローン等を利用してマイホームの取得や増改築等を行った場合
ローンを利用して自宅の新築、購入、増改築などを行った場合、一定の要件を満たすと所得税が減額(住宅借入金等特別控除、特定増改築等住宅借入金等特別控除)となり、還付金がもらえます。1年目は自分で確定申告することが必要ですが、2年目以降の減税措置は年末調整で受けられます。なお、住宅が夫婦の共有名義となっており、夫と妻が別々に住宅ローンを借りる場合には、夫婦ともにこの控除を受けることができます。

(3)退職後、年末までに再就職していない場合
年の途中で退職した人は、退職前の給与から源泉所得税が引かれており、すでに所得税を納付した状態になっています。再就職しないで年末調整を行わないと、所得税は差額調整されないまま納付完了となってしまいます。こういう場合、払い過ぎの状態になっていることが多いので、自分で確定申告を行うと、たいがい税金が還付されます。

3.「ふるさと納税」で税金が戻ってくる

最近、「ふるさと納税」が話題となっています。これは、自分の選んだ自治体に寄附を行った場合に、その自治体からお礼の品として地域の特産品等のお肉や果物などがもらえる仕組みですが、これとあわせて、寄附額のうち2,000円を越える部分(一定の上限あり)が所得税と住民税から控除(寄付金控除)されます。つまり、ふるさと納税をすると、所得税が減額されるので、確定申告をすると税金が戻ってくるのです。

なお、2015年4月より始まった「ワンストップ特例制度」を使えば、寄附ごとに申請書を寄附先の自治体に郵送すれば、確定申告をしなくても、税金が戻ってくるようになっています。

4.2017年からは市販薬を購入しても税金が戻ってくることがある

2017年1月から、医療費控除の特例である「セルフメデュケーション税制」が開始されます。この制度は、対象となるOTC医薬品(ドラッグストアや薬局で処方箋なしに購入できる医薬品)を1年間に12,000円以上購入した場合、12,000円を超えた金額が88,000円を限度として所得から控除され、確定申告をすれば、所得税の一部が戻ったり、住民税が軽くなったりする仕組みです。ただし、世帯主が自治体の特定健康診査(メタボ検診)や会社の健康診断などを受ける、予防接種をうけるなど、健康管理に取り組んでいることが必要で、また、前述した医療費控除と一緒に利用することはできません。

5.確定申告は自分で簡単にできる

「確定申告によって税金が戻ってきそうだけど、申告書の作成や税務署への届出が大変そうだ」と思われた人はいませんか?

今は、インターネットで国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」を使えば、必要事項を入力するだけに申告書を作成することができますし、申告書を打ち出して税務署に郵送すれば、税金の還付額が指定した銀行口座などに振り込まれるようになっています。

このように、確定申告は、自分で簡単にできるようになっていますので、税金が戻ってきそうな人は、是非、やってみてください。

社労士

深瀬勝範(ふかせ かつのり)

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Fフロンティア株式会社代表取締役。社会保険労務士。1962年神奈川県生まれ。一橋大卒。大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社、大手情報サービス会社を経て、独立。企業・公共団体の人事制度設計や事業計画の策定等のコンサルティング、人事労務専門誌などに寄稿も行っている。著書に「労政時報別冊 実践人事デ-タ活用術」(労務行政)。