はじめまして、mizzyと申します。フリーランスのソフトウェアエンジニアをやりながら、妻(専業主婦)と5人の子ども(高3男、高2男、中2女、小3男、小2男)と暮らす43歳です。
2014年に独立してから2年ほどは、個人事業主として活動していました。現在は法人化していますが、基本的には自分1人で業務を請け負って仕事をしているので、働き方は個人事業主だった頃と何ら変わっていません。
仕事のために外出するのは月に2、3回ほどで、それ以外は家で仕事をしています。そして、せっかく家にいるのだからと、仕事部屋にはこもらずに、家族と接することができる状態で、仕事をしつつ家事や育児もしています。
このコラムでは、子どもが5人いる家庭で、家事、育児、仕事を、妻とどのように分担し、どうこなしているのか、平日のある1日を例として紹介します。また、家事や育児や仕事をなるべくストレスなく行うために、実践している工夫についても紹介します。
家事・育児の分担は、夫婦でゆるく運用。わが家の1日のタイムライン
わが家の平日のある1日の流れを、家事、育児、仕事に着目して紹介します。
- 6:30 起床。妻は長男、次男、長女の弁当作り。自分は三男と四男の朝食を用意し、2人を起こし、食べさせる
- 7:00 妻は引き続き弁当作り。自分は三男と四男に学校へ行く準備をさせつつ、昨夜干したり乾燥機にかけたりした洗濯物を畳んで収納する
- 7:30 三男と四男は小学校へ。妻がそれに付き添う。自分はまだ起きてこない次男と長女を起こす。長男は自分で起きてくる
- 8:15 妻は三男と四男を送り届けた後、そのまま小学校でPTA関連の仕事。長男、次男、長女が学校へ行き、自分は大学の勉強を開始(筆者は大学生でもある)
- 9:30 妻は引き続き小学校でPTA関連の仕事。自分はルンバを動かして掃除しながら、オープン書斎で仕事を開始。集中力が必要な仕事は、家の中に子どもたちがいないこの時間帯に行う
目の前にリビングがあるオープン書斎
- 11:00 妻が帰宅して、食器を洗ったりキッチンの掃除をしたり昼食を作ったりする。自分は引き続き仕事をしつつ、合間にブラーバジェットを動かして床拭きをする
- 12:00 夫婦で昼食を食べる
- 12:30 昼寝。妻は食器の後片付け
- 13:00 仕事再開。引き続き子どもたちが帰ってくるまで集中して仕事。合間に洗濯
- 14:40 妻が小学校にお迎えに行く
- 15:20 妻と三男と四男が帰宅。三男と四男の友達が遊びに来てにぎやかになる。ここからは集中力を要する仕事はなるべくしない。どうしても集中したい場合にはノイズキャンセリングヘッドホンをかけ、ホワイトノイズを大きめの音量で再生する
- 16:00 仕事の合間に米をといで炊飯器のタイマーをセットする。長男や次男が高校から帰宅
- 17:00 三男と四男の友達が帰ったあと、2人の宿題に付き添いながら仕事をする。妻は夕食の準備
クローズドな方の書斎。ここで三男や四男の宿題に付き添う
- 18:00 長女が学校の部活から帰宅。長女と三男と四男に夕食を食べさせる
- 18:30 三男・四男とお風呂。2人が一緒に入るとけんかしがちなので、別々に入る
- 19:00 妻は食器の後片付け。自分は仕事をするか、ソファでくつろいでテレビを見る
- 20:00 妻はスーパーへ食材の買い出し。店内が空いてるし、駐車場も空いていて車を止めやすいので、この時間に行くことが多い。自分は三男と四男に夜のおやつを食べさせる
- 20:30 三男と四男は歯磨きをし、読書タイムへ。自分もそれに付き合う
- 21:00 三男と四男を寝かしつける。寝ついても寝つかなくても、側にいるのは21:30までという約束をしている
- 21:30 妻は長女の塾のお迎え。自分は寝かしつけを終了しリビングでテレビを見ながらソファでくつろいだり、仕事をしたりする
- 22:00 妻は、バイトから帰ってくる次男の夕食や、勉強している長男の夜食を準備する。自分は洗濯
- 23:00 妻は、キッチンやダイニングやお風呂を念入りに掃除。自分はゲームをしたり、本を読んだり、テレビを見たり、仕事をしたりする。妻が早く寝た時には、自分がキッチン、ダイニング、お風呂を軽く掃除する
- 24:00 以降、妻も自分も、仕事をしたりテレビを見たり好きなことをしたりしつつ、適当なタイミングで就寝
家事や育児の役割分担は、おおむね1日の流れで紹介したような形になっていますが、きっちり決めているわけではなく、夫婦の役割が入れ替わることもあります。どちらかの体調が悪ければ、元気な方が全てやったりもします。また、集中力が必要な仕事は子どもたちがいない間に行う、スーパーへの買い出しは店が空いている夜の時間帯に行くなど、夫婦それぞれで効率よく時間が使えるように工夫しています。
5年くらい前まで、私は仕事で平日ほとんど家にいなかったので、家事や育児は妻に任せっぱなしでした。今は私が家にいる時間が長いので、どのような形にすると私と妻のストレスが少なくなるか、ということを夫婦で考えながら、ある程度は役割を分担しつつも、やれる方がやれることをやる、といった形でゆるく運用しています。
フリーランスになった当初、家事や育児はそれまで通り妻がやることが多かったのですが、自分がやった方が妻や子どもたちにとって良さそうなことを、少しずつ巻き取っていきました。例えば、子どもの宿題。妻はなるべく丁寧にやらせる考えなのですが、自分は雑でもやればいい、という考えです。なので、自分が宿題に付き添った方が妻も子どもたちもフラストレーションがたまりにくいだろうということで、今の役割分担になっています。
そして、仕事で家を不在にすることの多い父親が育児に参加するにあたって大きな壁になるのは、子どもたちが一緒にいる時間の長い母親にばかり懐いてしまう場合がある、ということです。わが家でもその傾向はあり、特に次男が小さい頃には、一緒に寝ようとしたら泣いて拒否されたことがあります。最近は家にいる時間が長いためか、母親大好きな三男も父親を拒むほどではないですし、四男は父親と過ごすのが大好きなようで、拒否されることなく2人の相手ができています。
家の間取りや使い方を工夫して、ストレスを軽減
家事や育児の分担以外にも、ストレス軽減のために実践できる工夫はいろいろあります。
ストレス軽減のために今まで実践した中で、一番効果があったのは、自分たち家族にとって住みやすい「家」の環境を整えることでした。
2年半ほど前まで、3LDK65平米の賃貸マンションに7人で住んでいたのですが、空間に対して物の量が多過ぎて片付けができない、トイレや洗面台が1つずつしかなく、使いたいときに使えない、狭いリビングに家族がひしめき合って、お互い必要以上に干渉せざるを得ないなど、とてもストレスフルでした。
引っ越しも検討しましたが、家族7人で住むのに十分な広さのあるファミリー物件はなかなか見つかりません。そこで、思い切って一軒家を建てることにしました。
家を建てたことで部屋はかなり広くなり、生活する上でのストレスは大幅に軽減しました。しかし、ただ広ければいい、というわけではありません。特に子どもが5人もいると、間取りは重要になってきます。今の家の間取りを考えるにあたって、以下の点を重視しました。
- 年齢や趣味嗜好の違う7人それぞれの生活のペースを大事にする
- 各部屋が持つ機能をなるべく少なくする
- オープンなスペースでコミュニケーションを取りやすくする
それぞれについて、具体的にどのように間取りで工夫したのかを紹介します。
家族それぞれで異なる、生活の「ペース」を大事に
まず、「7人それぞれの生活のペースを大事にする」ための工夫の一つである、リビングとダイニングの間取りについて。以前の家では、8.5畳ほどの狭いリビングが食事をする場でもあり、テレビを見る場でもありました。
食事の手が止まるのを避けるため、食事中はテレビを消していたのですが、これだと最後の1人が食事を終えるまで、テレビを見たくても見ることができません。新しい家では、リビングとダイニングをつながった空間にしつつも、ダイニングからはテレビを見ることができない間取りにすることで、誰かが食事中であっても、テレビを見たい人は見られるようになっています。
ダイニングから見えない位置にテレビがある
部屋の用途を限定し、家族同士が必要以上に干渉しないように
次に「各部屋が持つ機能をなるべく少なくする」について。以前の家では、食事をしたり、テレビを見たり、ゲームをしたり、おもちゃで遊んだり、といったさまざまな機能がリビングに集中していました。そのせいで、食事中はテレビを見られなかったり、おもちゃが散らかり放題でくつろげなかったりと、したいことを我慢しなければならずとてもストレスフルでした。
その反省から、現在の家では、食事はダイニング、テレビはリビング、ゲームやおもちゃはキッズホール、と以前の家のリビングが持っていた機能を各部屋に分散しています。これにより、家族それぞれが、他の家族に気兼ねなく好きなことができます。また、家の中で家族が適度に分散し、必要以上に干渉し合うことが少なくなり、とても快適になりました。
2階のキッズホールで遊ぶ三男と四男
家族と自然に顔を合わせるタイミングを増やす
最後に「オープンなスペースでコミュニケーションを取りやすくする」ための工夫の一つである、オープン書斎とリビング階段について。私は仕事の時間もプライベートの時間も、ほとんどの時間をこのオープン書斎で過ごしています。子どもたちの個室やキッズホールは2階にあり、必ず書斎横のリビング階段を通るので、自然と顔を合わせる回数も多くなります。写真には写っていませんが、キッチンとつながる小窓もあり、家事中の妻とのコミュニケーションも取りやすいです。
オープン書斎をリビング側から見たところ
ここで紹介したもの以外にも、キッチンとダイニングの動線、玄関から洗面室への動線、脱衣室と洗面室の分離、洗濯機置き場と衣類収納の位置など、家族のストレスを軽減するための間取りの工夫はいろいろあり、妻の意見がかなり反映されています。
家事の負担を軽減するアイテム・サービスは、積極的に活用
家族の人数が多いほど、洗濯や掃除といった家事の負担は増えていきます。そこでわが家では、家事を助けてくれる便利家電やサービスなども積極的に取り入れています。
便利家電といえばドラム式洗濯乾燥機、食器洗い乾燥機、ロボット掃除機がよく知られていますが、わが家ではそのほかに、ガス衣類乾燥機と全館空調がとても役に立っています。
ガス衣類乾燥機はパワフルで、洗濯物が速く乾きます。家族が多いわが家は1日に何度も洗濯するのですが、ガス衣類乾燥機なら洗濯機と並列に動かせるので、洗濯にかかる時間を圧倒的に短縮できます。
全館空調は、家全体の空調を1箇所でコントロールするものです。各部屋にエアコンを置かなくて済み、掃除の手間が軽減されます。夏も冬も家中どこでも快適なので、家族の居場所が1箇所に固まることなく適度に分散され、ストレスが軽減されました。
そして、7人も家族がいると物の収納場所には苦労しますが、わが家では整理収納アドバイザーさんに不定期で来てもらっています。来てもらうたびに整理収納の悩みが一つ一つ解決していき、どんどん快適になっていきます。
また、車があると本当に便利です。子どもが5人もいると、通院や習い事の送り迎えなどで、車を必要とする用事が重なったり、何らかのトラブルで突発的に車が必要になったりすることがよくあります。わが家では夫婦で2台の車を所有して、片方が車に乗っているときに突発的な事態が起きても、もう片方が車を出せるようにしています。
子どもが5人いることは「大変」?
「子ども5人! すごいですね……うちは○人でも大変なのに……」みたいなことをよく言われます。でも、実際には、5人いるからといって「1人の時の5倍大変」というわけではないと感じます。兄や姉が弟や妹の面倒を見てくれたり、一緒に遊んでくれたりしますし、家のことも手伝ってくれたりするので、むしろ1人や2人の時よりも楽かもしれない、と思うぐらいです。妻も、1人の時が一番精神的にしんどかったし、2人の時が一番肉体的に大変だった、と言っています。
とはいえ、やはり5人いるからこその大変さ、というのもあります。最近は、高校生の長男や次男の生活時間が夜遅くにシフトしていて、家事の時間もそれに合わせて夜遅くなってしまうが、小学生の三男と四男に合わせて早起きもしなければいけない、というのが割と大きなストレス源で、新たな課題です。
また、わが家では育児の大変さは人数には比例していませんが、かかるお金は人数にほぼ比例しています。特に、長男が大学進学を控えており、これからおそらく一番お金がかかるフェーズに入りますが、現在フリーランスということもあって、家族を養っていけるだけの収入を、今後も維持できるのかがとても気がかりです。
ですが、もともと楽観的な性格なので「まあなんとかなるだろう」とも思っています。そもそも、楽観的でなければ、計画外とはいえ、5人の子どもを育てようとは思わないでしょう。子ども5人家庭でストレスなくうまくやっていくためのポイントは、この楽観さかもしれない、と思っています。
著者:宮下剛輔(id:MIZZY)
フリーランスのソフトウェアエンジニア。著書に「Serverspec(O'Reilly Japan)」、監訳書に「Infrastructure as Code(O'Reilly Japan)」がある。
サイト:mizzy.org
ブログ:フリーランスの家づくり日記
編集/はてな編集部